2010年4月23日金曜日

2010.4.22 thu.

インタビュイーは残すところあと二人なのですが、そのうちのひとり、markkuのお母さんが体調を崩してしまいました。一応最後の日まで望みをかけているのですが、もしかしたら難しいかもしれません。
会う方みんなに「来年また会いましょう」と言って別れていますが、みなさんの年齢と体調からいって、もしかするとそれがかなわない方もいるかもしれません。でも、私たちが作品を完成させて、また来年やってくるのを楽しみにしてくれることで、少しでも力になったらいいなあと思います。

今日会った男性は、お父さんが政治活動をしていた方で、結婚や仕事にもいろいろと大変な出来事があった人でした。詳しくはここでは表せないのですが、これまでわりと幸せだった話をたくさん聞いてきたので、ちょっと今までとは違う感じを受けました。
でもそれが、悲しく暗いというよりも、いろいろあったけど、彼なりのユーモアを持って人生を生きているという印象を受けました。何も自分を良く見せようとしていないところが、すごく自然でした。

インタビューを受けてくれる人たちには、私たちはただ一回会うことしかできず、その日その時の印象しかわからないので、表面的にしか感じられない部分もあると思います。
あとからmarjaの話を聞くと、見えなかった部分がかなりあることに気がつきます。
でも、世界の中の小さな街のすごく個人的なことが、どこの誰にでもあるとても普遍的なことに繋がると思っています。
アートとして、どう表現できるか、三人でいろいろと話し合いました。

2010.4.21 wed.



今日はインタビューはないので、三人でトゥルク城で展示スペースを確認したり、展示方法などについてミーティングをしました。
私たちは今回、お年寄りの方々に会うときに、最初の挨拶として和紙で折った鶴などの折り紙を渡しています。かなりステレオタイプなことをしている・・・と自分たちでも笑ってしまったけれど、トゥルクのお年寄りにとって、日本はさほど知られていないところで、はるばる日本からインタビューに来たというだけでも驚きなようなのです。そして、折り紙を渡すとみんなとても喜んでくれます。
marjaはこの折り紙にかなり関心を示していて、私たちが折るのを興味深く見ています。

この日の夜は、TURKU2011のプログラムのひとつでもある、Kimmo Pohjonenというアコーディオン奏者の公演を見に行きました。「Accordion Wrestling」というタイトルのパフォーマンスで、フィンランドでもっともオリンピックのメダリストが多いというレスリングの競技をテーマにしています。
アコーディオンの演奏にあわせて、レスラーたちが、取っ組み合ったり、踊ったりしているパフォーマンスで、今までに見たことがないくらい奇妙なもの。ただただ笑ってしまったけれど、考えれば考えるほど、おかしい。
フィンランドって、やっぱりどこか底抜けに暗くて明るい。変なユーモアと真面目さがある。でもそこがすごくひかれるところでもあるなあ。

2010.4.20 tue.


今日会った女性は、marjaの友人のドキュメンタリー映画監督の女性のお母さんです。友人といっても、marjaのカメラオブスキュラの写真を見たその監督が、お母さんをモデルに写真を撮って欲しいと連絡をしてきたことから知り合ったそう。
marjaの作品は、カメラオブスキュラの技法を使い、室内に外の風景を映し出し、その状況の中でその部屋に住む人物を写すポートレートを撮っています。今回のInner landscapesでも、その方法で撮影します。
今日会った女性も、昔先生をしていて、とても知的な雰囲気の明るい女性でした。

2010.4.19 mon.


今日のインタビューは、一軒家に家族と住んでいる男性です。奥さんとお嬢さんも一緒にいろんなアルバムを見せてくれました。
奥さんと出会った頃の話を聞くと、二人は楽しそうに当時のラブストーリーを聞かせてくれました。
でもお嬢さんは、お父さんであるその男性の口からそんな話は聞いたことがなかったそうで、驚いていました。
確かに、家族のことほど実はあまりよく知らなかったりするものです。だけどそんな小さなラブストーリーが確実に家族の歴史を作っているというのを、二人を見て感じました。

この日は、ナースのritvaが車で私たちを案内してくれました。Ruissaloというトゥルクの町から車ですぐのところにある、道路で繋がっている島や、トゥルクにある建築の美しい教会、インタビューで聞いた町の中の小学校など、たくさんまわりました。


2010.4.16 fri



今日はインタビューはなく、老人ホームportsakotiのディレクターや、TURKU2011財団の担当者とミーティングをした後、午後は時間ができました。
週末なので、トゥルクのセンターを流れるアウラ川沿いに、マーケットがたくさん立ち並んでいます。トゥルク周辺の海は群島があるところなので、その島の特産物などを売るアーキペラゴマーケット。私たちも自転車を止めてぶらぶら散歩。
量がどっさりだけど、焼いたサーモン、すごくおいしかったです。

2010年4月18日日曜日

2010..4.15 thu.


今日は船乗りだった男性にインタビューしました。
14~15歳で船に乗り始め、一年の半分を航海し、世界のさまざまなところに行った現役時代。
そして大きな病気をしても、今も自分で料理をし、roothkotie(老人ホーム)でのさまざまな催しに積極的に参加していること。
さまざまな経験があるだけに、昔はきっと大胆で男っぽいところもあったのかもしれないけれど、私たちをとてもあたたかく迎えてくれました。

今日は、TURKU2011のスタッフが私たちのインタビューの様子を取材に来ました。
その後、来年私たちが展覧会を行なうトゥルク城で今度は私たちが取材を受けました。

トゥルク城では、Marjaと三人でどう展示をするかについても話し合いました。
写真がトゥルク城です。

2010.4.14 wed.



今日お会いしたのは、インタビュイーの中で最も年齢の若い75歳の女性でした。若い頃は先生をしていて、英語が話せる、行動的な女性です。
私たちにピアノを弾いて聴かせてくれました。
毎日ひとりずつ会って話を聞き、その人の印象を脳裏に焼き付けていますが、当たり前のことですが一人一人まったく違います。
個人的な人生のほとんどは、文字や記録として残されたり、博物館に所蔵されるものではないけれど、それらが集まって歴史が作られていくのだと思います。
私たちがどういう形でそれぞれのストーリーを表せるか、じっくり考えて形にしていきたいと思います。

2010年4月14日水曜日

2010.4.13 tue.


今日訪れたのは、93歳の女性。
おだやかでゆっくりと話し、若い頃からとてもおしゃれだったのがうかがえました。
93歳になってこれまでの人生を振り返って、「good life」と自然に言えることに感動しました。
人生のどの時もそれぞれ良かったといいます。

今日は写真家のMarjaがトゥルクに到着しました。
これから3人で一緒に生活しながら、取材と同時に展覧会に向けての話し合いもしていきます。

夜はMeijuの家でRitvaやMarkkuも一緒にディナー。
みんなフィンランド語だけど、わかるようなわからないような。
犬3匹と、たくさんの美術品に囲まれて、外は21時をすぎてもいつまでも明るくて、なんだか不思議な夜です。

2010年4月13日火曜日

2010.4.12 mon.


初めてのインタビューは、87歳と88歳の夫婦です。
とても仲の良い2人。旦那さんは戦争にも行っていました。
見せてもらったアルバムには、家族の思い出のアルバムと、戦争の記録が別々に保存してありました。

トゥルクのお年寄りにとっては、日本から突然やってきた私たち。
でもとてもあたたかく迎えてくれて、いろいろな話を聞かせてくれるというのは、それまでにRitvaやMarjaがいろいろとコーディネートしてくれたおかげです。

インタビューが終わったらちょうどお昼。
イメージが鮮やかなうちに、記録しつつ休憩しようと自転車でカフェに向かいました。
私たちが前回トゥルクに来たときに訪れてすごく気に入った、ストロベリーカフェ!
かなりファンシーだけど、スープもキッシュもサラダもおいしくて、何より気のいいマダムがいるのです。

2010年4月12日月曜日

2010.4.11 sun.



明日から早速お年寄りへの取材が始まります。
今日は日曜なので、一日お休み。生活必需品をそろえたり、トゥルク市内を撮影にでかけました。
午前中、私たちの足となる自転車を借りるため、車ですぐのmeijuの家へ向かいました。
meijuは、ritvaとは違う老人ホームrosekotieで働いているとだけ聞いていましたが、meijuの家に行ってびっくり。
亡くなった旦那さんがアートディーラーだったそうで、家の中にはたくさんの絵画に彫刻に工芸品が点在しています。旦那さんはロシアの家系だそうで、家の中もフィンランド的というよりはもっと装飾的な雰囲気。
ブランチを食べながら、meijuの家族の話を聞いたり、写真を見たりしました。

その後、2人で自転車でトゥルクの街を回りました。
トゥルクはスウェーデン系のフィンランド人の多く住む地域で、街にはスウェーデン語も多く見られます。
街の中心部を流れる川にはたくさんの船がとまり、カフェにもなっています。

2010年4月11日日曜日

2010.4.10 sat.



トゥルクに到着しました。
これから約2週間、作品制作のための取材を行ないます。
主な内容は、モデルとなるお年寄りの方々へのインタビューと素材集めです。

到着してすぐ、TURKU2011財団のプログラムディレクターSuviとEUジャパンフェスト日本委員会事務局長の古木さんとランチミーティングをしました。
欧州文化首都TURKU2011は来年中行なわれます。私たちのプロジェクト「inner landscapes」は2011年5月19日から9月25日まで、トゥルク城で展示される予定です。

ミーティング後、プロジェクトメンバーのRitvaと、今回の滞在のために私たちに家を提供してくれるMarkkuとMeijuと待ち合わせ、トゥルク中心部にあるMarkkuの家に向かいました。
この家はMarkkuのご両親の曾おじいさんが建てた家だそうで、Markkuの部屋には曾おじいさん夫婦をはじめ、家族の歴史を感じる写真がたくさん飾られていました。
今回の作品のモデルの中には、Markkuのお母さんもいます。これからいろいろな過去の話を聞くのが楽しみです。